イジワル王子を拾いました。



何分くらいこのままだったのだろうか。

私も落ち着きはじめていた頃、慈侑くんがゆっくりと体を離した。


さっきまでの疲れたような顔ではなくて、いつもの笑顔の慈侑くん。


「ごめん、柚。」


いきなり来たことに対するごめんなのか、いきなり抱きしめたことに対するごめんなのか…


私は全部ひっくるめて「ううん。」とだけ返した。



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