イジワル王子を拾いました。


「じ、慈侑くんお風呂入る?」


これ以上主導権を握られる前に私は話題を変えた。


「あぁ。そうだな。入りたい。」

雨にも打たれているし、このまま寝るわけにもいかないし。

「じゃあ、こっち」

私は慈侑くんをお風呂場まで案内し、後で服を持ってくると告げてからお風呂場を出た。


…着替えどうしよ。


ズボンはさっきのジャージでいいとして、問題は上。


私はクローゼットの中をガサガサと探り、パーカーを手に取った。


かなりゆったりで着るパーカー。
スポーツメーカーのロゴが大きく入っており、ダボダボな感じが気に入っている。


これでいっか。


私はそれを持ってお風呂場の脱衣所に向かった。


お風呂場から聞こえてくるシャワーの音にかき消されながらも

「慈侑くん、着替えここに置いとくね」

と言っておいた。




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