イジワル王子を拾いました。
「あ!慈侑くん!」
それは慈侑だった。
「柚〜。やっと会えたー」
慈侑くんは私が座っているカウンターのテーブルにうな垂れるような姿勢になった。
「休み時間のたび行こうとしたんだけど、いろいろ引き止められて、やっと行けたと思ったら柚移動教室でいねーし。昼休みはバスケで捕まるし…」
ふてくされた様に言う慈侑くん。
昨日ぶりだけど、なんだか慈侑くんに会えたことが嬉しい。
「そうだったんだ。どうしてここがわかったの?」
「さっき柚の教室行ったら、柚のクラスの人が“ここ”だろうって」
「そっか。…風邪はもう大丈夫?」