貴公子?いいえ、俺様男です
「あ"ーーーっ‼︎‼︎」
パサッ…!
「コラ、修斗のアホ!
急に奇声を張り上げるんじゃねえ!」
ここ"Bar Cheri.Cherie"(シェリ・シェリー)は、中学生からの友人、瑛二の店だ。
デザートの仕上げをしていた瑛二が、俺のせいで、ショコラトリュフに抹茶が大量にかかった!とブツブツ言っている。
「あぁ⁉︎
物事に動じない強い心を持て」
知ったこっちゃない…と、俺はダイキリに口をつける。
「俺は修行僧かっ!」
「………」
「珍しいな… 何があった?」
俺の目を覗き込む。
「…何もない。
何もないから、参ってるんだ」
「女か…」
「………」
「女を喰いまくってた修斗が、何を悩んでんだ?」
「…喰いまくってなんかない」
(いや…喰ってたのか…)