貴公子?いいえ、俺様男です
「あ"ーーーっ‼︎‼︎ 」
「わっ、修斗のアホ!
ったく、 同じことすんなよっ」
Bar Cheri,Cherie
カウンターの向こうで、瑛二が、ジャスミンティのムースに、蜂蜜がかかり過ぎただの、苺がつぶれたのぎゃあぎゃあ騒いでる。
「今度はどうしたんだよ?」
ほらっ、落ち着け…と、俺にフローズンダイキリを差し出す。
カクテルグラスに口を付け、数日前に起こったことを、かいつまんで話す。
「………」
「………」
「葵か…。けどさ、
ただ葵の車で一緒に来ただけだろ?偶然、本屋で会ったって言ってんだし」
「ああ。でも、俺の勘…外れたことないんだよ?」
俺は、人の感情を読むことが得意だ。
あいつ…都ちゃんと話す俺を、すごい冷たい目で睨んでた。
話し方や態度は普通にしてたが、あれは嫉妬だ。
間違いない。あいつは、葵は都ちゃんのことが好きだ。
都ちゃんは…分からない。分からないが俺との間にある壁が、あいつとの間にはないように見えた。