貴公子?いいえ、俺様男です
貴船神社まで徒歩を選んだ。

歩道がほとんどないので、時折通過する車から里菜ちゃんを庇いながら進む。

緩やかな上り坂。気温は低いが、歩いているうちに温かくなってきた。



着いた



「うわぁ!綺麗!」

神社の石段に沿うように並んだ灯篭。

灯りが幻想的だ。

「シュウさん、すごく綺麗!」

クルッと、俺の方を振り返る。

ドキッ

「…ああ。綺麗だな」

なんだ?

俺…里菜ちゃんを見てドキドキしてる。

うーん。きっとアレだ。灯り効果?

温かい灯りで、誰もが素敵に見えるとかいうやつだ…。

ガシッ…

芽生えた感情に戸惑い、頭の中でグルグル考えていると、ふいに里菜ちゃんが俺の腕を掴んだ。

まっすぐに俺の目を見つめる。

「大丈夫ですよ?
シュウさん、不安な時は頼ってください。私、小っちゃいけど、寄りかかるシュウさんを受け止めるくらいの力はありますよ?」

ぎゅっ、掴んでる俺の腕に力を込めた。

「………」

不安げに俺を見つめる里菜ちゃんがいた

「ありがとう」

里菜ちゃんの細い肩を抱きしめた。















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