貴公子?いいえ、俺様男です
想いが通じ合った二人の行動は早かった

両家への挨拶をさっさと済ませ、結婚式は、来年二月の都ちゃんの誕生日に行われることになった。

「何をそんなに急いでるんだ?
デキ婚なのか?」

と、葵に尋ねたら

「早くしないと、他の男に盗られる」

「………」

「家の中に閉じ込めたいくらいだ」

なんだ?この溺愛男。こいつがクールな男だと?ただの阿呆じゃないか…

「おまえ…他の男に盗られるんじゃなくて、うんざりした都ちゃんに逃げられるぞ」

おーおー、気の毒な奴だな〜

と言ってやったら、スネを思いっきり
蹴られた。

痛い…

「里菜ちゃん…痛い。
葵くんが酷いことする」

ううっ…と泣き真似をしながら、店内にいる里菜ちゃんに訴える。

「はい、はい、
葵さん、暴力はダメですよ?
でも、今のはシュウさんのお口も、
いけないんです。

二人とも、仲直りしてくださいね?」

「………」

「………」

・・・・・

彼女が花材を買いにくる時は、もれなく葵も付いてきた。

買った物を運ぶという名目だが、俺への牽制の意味もあると思う。

ったく、もう吹っ切れてるっつうの!


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