貴公子?いいえ、俺様男です
ガーデンパーティ会場から、少し離れたベンチに里菜ちゃんを座らせる。

「お酒に弱いんだから、気を付けなきゃダメでしょ?」

ペットボトルのミネラルウォーターを差し出す。

「…私、そんなに赤いですか?」

大きな漆黒の瞳が揺れてる。

ドキッ…

上目遣いで見るな、

心臓がうるさい。

「ああ。真っ赤だ。

俺にキスしてほしそうな顔してるぞ?」


「………」


おい、冗談だ。そこで固まるな。


「………」


みろ、変な沈黙が出来ちまったじゃないか。

「……ですよ?」

ん?よく聞こえない。
首をかしげ、よく聞こうと里菜ちゃんの顔をのぞき込む。


チュッ…


なっ・・・⁉︎

くちびるに、微かに感じた柔らかい感触

「………」

固まってる俺に、

「いいですよって、言ったんです」

そう言ったかと思ったら、一目散に逃げた。

「おい…酔いがまわるぞ?」

ドキドキと、うるさい心臓を落ち着かせたくて、冷静さを装う。

たぶん、俺も真っ赤だ。


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