貴公子?いいえ、俺様男です

キスの余韻

ジャーーー

顔をガシガシ洗う。


『いいですよって、言ったんです』


ドキドキドキドキ…


突然のことに、目を見開いたままだった。

薄っすら赤い頬、静かに伏せられた瞼、
ふっくらとしたピンク色の唇…


カアァァーー


さっきの出来事が、鮮明に思い出される。

キスされただけで、この有様だ。


タオルに顔を埋めた。


京都で、里菜ちゃんを抱きしめて眠っていたことも、蘇ってきた。

柔らかな感触、甘い香りが俺を包んだ。
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