貴公子?いいえ、俺様男です
突然の俺の登場に、二人はピッタリ寄り添ったまま、俺の方を見る。


「シュウさん!」「先生!」

「「おかえりなさい!」」

なんだよ。二人とも息ピッタリじゃねえか!

俺に駆け寄ろうとする里菜ちゃんを達也が止める。

「待って、動かないで!」

ぐっ…と里菜ちゃんの腕を掴む。


はっ?何なんだよ?


「あ、そうでした」

ピタリと駈け出すのを止めた里菜ちゃん


へっ?里菜ちゃん…


「ガラス…危ないから」


ん?ガラス?
二人の足元を見ると、ガラスの破片が散らばっていた。


ハアァァァ


なんだ。ガラスを片付けてたのか。

少しホッとしたが、

「二人とも、怪我はない?」

勘違いした自分の動揺を隠すように、努めて冷静な声を出す。


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