貴公子?いいえ、俺様男です
「もう!フウはん、ほーやって、はわらないでくだはい」

ほっぺをぷにぷにされてるせいで、うまくしゃべれない里菜ちゃん。

「里菜ちゃんは、おもしろいなあ」

ははは…

「………」

急に黙り込む里菜ちゃん。

「………」

「どーしたー?眠くなったのー?」

アルコールが回ってきた俺はアホっぽい

「私って、シュウさんの役に立てないのかな?」

「ん?なに言ってんの?すごく助かってるよ?」

「お店の販売って、私じゃなくても出来るもん…」

「どうした?何かあったのか?」

酔いが醒めてきた俺は、里菜ちゃんの顔を覗き込む。
瞳が揺れていた。

「ううん。何も。…私には何もないの」

「………」

いつもと様子が違う里菜ちゃん。
どうしたんだろ。明日、上田さんに聞いてみるか。

この時、明日になんかしないで、もっと彼女の話を聞いてあげてたら、違う結果になってたのかもしれない。

この時のことを、ずっと後悔し続けるんだ。

次の日、里菜ちゃんが消えた。





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