貴公子?いいえ、俺様男です
「そんなに素敵な場所なら、ぜひ案内してもらいたいね」




ジャリ…




ふいに、後ろから声をかけられた。




ふわり…




この香り…



「探したよ…里菜」



ジャリ…




「……っ! シュウさん!」



振りかえると、柔らかく微笑むシュウさんがいた。


「毎日、探した」


ぎゅうぅぅ…

シュウさんの腕が私の腰に回る。


「ど、どうして?」


視界がボヤける。


「かくれんぼは、俺の勝ちだ」


ぎゅうぅぅ…


涙のダムが決壊する。


会いたかった人。

夢で会えたらと願っても、なかなか会えなくて。

もう、一生触れることはないと思ってた。



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