貴公子?いいえ、俺様男です
ぎゅうぅぅ…


「 "どうして?"だと?」

こくん…

うなずく私。


ぐいっ!


「…っ、痛い!」


鼻を思いっきりつままれた。


「そんなの、里菜のことが好きだからに決まってんだろ!

この、鈍感娘が‼︎ 」


さらに力を込められる。


「…ウソ…シュウさんが…私を好き?」

やっと鼻から手を離すシュウさんが、ふわりと微笑む。

「ま、鈍感なのは、俺も…かな?」

「………」


シュウさんの瞳が、真っすぐに私を見つめる。

「好きだ…里菜。

夢が叶ったのに、毎日が虚しくて。
いつも、長い黒髪の女の子を探してた。
きみがいなくなって、俺の回りから色が消えたんだ」


ぎゅうぅぅ…


「シュウさん、私も、私もシュウさんが好きです!」

「………」

腕の力が緩み、右手で顔を覆ったシュウさん。


「えっ?あの…シュウさん?」

よく見ると、耳たぶが真っ赤だ。

「………」

「………」

「それ、反則だ」

そう小さくつぶやき、
優しく触れるキスをくれた。

「愛してる。里菜」

そう言って、何度も優しいキスの雨を降らせた。


…fin.











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