強引な次期社長に独り占めされてます!
わーい。甘いものは大好きです!

ウキウキお箸で切り分けていたら、けっこう白熱して野間さんと会話していたはずの主任が、じろっと私を睨んできた。

「松浦だけずるい」

「え。なになにー?」

野間さんがふわりと動いて、私の手元を覗き込んだ。

うわぁ。酔っぱらいふたり?

「やだー。美味しそう~」

「あ。食べますか?」

一口に切り分けたコンポートを野間さんに差し出すと、いきなり主任に腕を掴まれて思わずぎょっとする。

「ちょ……主任?」

裏返った私の声を無視して、野間さんに差し出したはずのコンポートは、なんと主任の口に消えた。

野間さんとふたりで主任を眺める。

「うわ。けっこう甘いなこれ」

平然と呟かれても……困るのですが。

「やだー。上原くんそれはセクハラでしょー。松浦さん固まっちゃったじゃないの」

「セクハラかぁ? まぁ、すまん。松浦」

……いえ。いいんですけど。
ふたりとも酔っぱらいなんだね。

ぼんやりしていたら、クスクス笑いながらお姉さんが主任たちにもリンゴのコンポートの小鉢を持ってきた。

「雄之くんは、相変わらず甘いもの食べながらお酒を飲める人なのねぇ」

……なんて言われて、ちょっとだけ嫌な顔をした主任が印象的だった。

そのうち野間さんが壁に持たれてうとうとし始め、呆れた主任がスマホを取り出す。

どこにかけるんだろう?

不思議そうに主任を見ていたら、野間さんを指差した。
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