強引な次期社長に独り占めされてます!
自宅ながらのアットホームさがあって、でもどこか高級感がある。

これを店内というのは憚られるけど、最近は古民家カフェとかもあるし、これはこれでアリなんだろうな。

ぼんやりしていたら、主任に手を振られていた。

「悪いな。急に変な奴が出てきて。いつもなら、あいつの嫁さんが出て来るんだけど」

いつの間にかお友達さんはいなくなっていて、広い空間にふたりで取り残されている。

これはこれで緊張するんだけど。

確かに主任とふたりに切りになるのなんて初めてってわけじゃない。車で送ってもらったこともあるし、水族館デートもしたんだし。

でも、それだってその他の人もいる空間の話で、こんなプライベートチックな空間にふたりなんて……。
どうしましょう。何を話しましょう。相手が主任とわかったんだから、今更好きなテレビとかの話なんて私的すぎて難しいんだけど。

「やっぱり逆効果だったかな」

ポツリとした呟きに、いつの間にか俯いていた顔を上げた。

「お前は真面目なのが売りだし、仕事上ではいいと思うんだけどなぁ。今更、緊張してどうするんだ」

「しますよ。私はハロウィンで結構失礼なことした記憶が……」

「それを言ったら俺もだろう。ぶら下がったのはお前だが、抱きしめたのは俺なんだから」
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