強引な次期社長に独り占めされてます!
それは主任て私の言っている事を受け止めて、きちんと聞いてくれているのがわかっているし、話しやすいって言うか。

ちょっと気心が知れているから安心して……。

え。気心?

それって、とっても親しい間柄の言葉に聞こえる。

だって“上原主任”だけど、今は私の“彼氏”だし。

そうなんだよね、私の“彼氏”だから気心が知れていて当たり前。

……って、改めて考えたらさー!

「……どうした。急に真っ赤になって」

「え……」

バチッと目が合って、驚いたような視線と、私の慌てたような視線が交わった。

え……っと、どういうことだろう。

確かに“嫌だ”って言うから“とりあえず”彼氏と彼女になったわけで、好きとか嫌いとか、今はよくわかんないけどそうなっていて。

確かに主任は“好き”だとか、めちゃくちゃ不機嫌そうに、しかもふてぶてしい態度で言っていて。

だから、つまり、主任は少なくとも私を“嫌い”ではなく“好き”だとわかっているから?
わかっているから、私が気楽になっている?

でも、それとこれとは違うと思う。
つまりは私自身が主任に……その、気を許して……?

ああ、パニックですー!

「あー……なんだか、今、お前の頭の中を覗いてみたい気がする」

どこか遠くを見るように見つめられて、手を強く握られた。
< 164 / 270 >

この作品をシェア

pagetop