強引な次期社長に独り占めされてます!
「ところで、このままお持ち帰りしてもいいのか?」

「え……?」

私のキョトンとした視線と、主任の困ったような視線が交わった。

「俺、そういうことをしたいって、宣言したわけなんだけど」

そ……そそそうですね! 今は何より、そんなこと言われたんでしたね!

でも、それは改めて聞いてくること!?

「こ、心の準備がまだです……!」

「あ、そう……」

何だか気のない返事を受けて、しばらく歩き続ける。

ちょっとだけ拗ねたような顔をしているのは気のせいじゃないと思うけど、それを聞いてはいけない気もするし。

「嫌じゃ……ないんだな?」

「へ……?」

唐突に呟かれた言葉に、またまた真の抜けた返事をしたのは仕方がないと思う。

「嫌じゃ、ないんだな?」

聞き直されて、困ってしまった。

嫌か嫌じゃないか、それだけで言うと、たぶん“嫌じゃない”から、どうしようって思う。

だって、相手は主任。そして男の人。

今の話からすると、聞かれているのは、紛れもなくエッチなお話なんだよね?

大丈夫ですとは言いにくいです。

「それとも、お前は……俺と“付き合う”のは、嫌か?」

「……あ」

そ、そっちでしたかー!

嫌だもう! めっちゃくちゃ恥ずかしい勘違いしたよ!

過去最高にピンクな勘違いをしてしまったよ!

それならそうと、ハッキリ聞いてくれないと困っちゃうよ!

……あ。いや。ハッキリは聞きにくいか。
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