強引な次期社長に独り占めされてます!
「……今のはまったくわからない。どうしてお前は、真っ赤になったり真っ青になったりしてるんだ?」

「主任、お願いだから、人の顔色から察しようとしないでください」

「だってさー……」

と、主任はいきなりフランクに話し始めるから驚いた。

「俺の方が先に告ってんだし、しかも付き合っても“とりあえず”だし、未だに二人きりになっても“主任”だし、お前はあんまりしゃべらないし」

ズラズラと言われて目を点にする。

「お前、怪我してんのに見てるしかできなかったし、俺が動かなかったら一向に飯も食いにいけないし」

「はぁ……」

「せめて二人になった時くらい、名前で呼べっつーの」

これは間違いなく不服申し立てだね。

もう、わかりやすいくらい、向こう向いて言っているけれど……。

「つまり、上原さんは不安だと」

「当たり前だ!」

キリッと振り向かれて吹き出した。

「笑い事じゃないぞ、お前。一応、俺の方が年上だし、あまりぐだぐた言ってたらカッコ悪いし、だいたい言っただろうが、待ち構えてる方だって」

確かに“待ち構えてる”みたいな話はあったかもしれないけれど、それを私に要求されても困ります。

「私、ぐいぐい行くタイプに見えますか?」

吹き出すのは悪いとは思いつつ、どうしても笑いながら、主任……上原さんを見上げると、ちょっぴり顔を赤くして視線を逸らされる。

「わかってる。それはわかってるから困るんだ」

むすっと言われて、首を竦めた。
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