強引な次期社長に独り占めされてます!
「あ、ありがとうございます」

「気を付けろよ? お前はなんもないところでもコケそうだな」

「そ、それはないですよ」

片手で私の体重支えたよ、この人。

痩せるってすごいな。男の人に支えてもらっちゃうことができるんだ。
ちょうど屈むように死神さんは支えてくれているから……。

「ぶら下がることもできるかな?」

「はぁ!?」

心の底から驚いたような声が聞こえて来たけれど、構わず彼の首に手をまわすとそのままぶら下がった。

しばらく無言の死神さん。

……反応を期待していたわけじゃないけど、なんだかとっても困惑されているのがわかるんだ。

手を離すと足をつけて、視線をゆっくりと外す。

「……楽しいか?」

「ちょっぴり」

「俺はどっちかと言うと、こうした方が楽しめる」

急に腰に手を回されると引き寄せられて、ビックリして瞬きをしたら、そのままボフッと死神さんのマントにくるまれた。

視界は真っ暗闇だし、これは間違いなく抱き締められているし、慌てていたらクスッと小さく笑ったような声。
微かに柑橘系の匂いが鼻孔をくすぐる。

「そういう事ばっかしてると、襲われっぞ、お前」

「……し、死神さんは、紳士だもん」

「頭悪いなお前。枷になってんのは今んところ、お前が正体不明だって事だけだよ」

それはお互い様……そう言いかけ、ますます引き寄せられて身体が密着した。

「死神さ……」

これ以上はヤバイですー!
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