強引な次期社長に独り占めされてます!
「主任! 失礼ですから!」

幸村さんが猛然と抗議すると、主任が意地悪く笑いながら顔を上げた。

「いやいや、どうしたものかな……とも思っていたから安心した。よかったな松浦」

「え。何がですか?」

「幸村は、自分がキツいことを言っても、松浦が他人にキツいことをされるのは許せないんだと。芳賀が飴で、幸村が鞭ってやつだな」

そ、そうなの!?

私、また何かして、幸村さんには嫌われているとばかり思っていたから……。

「ありがとうございます……」

「ありがとうじゃないわよ! あんたすぐに芳賀が野間さんばかり頼って! 経理のお局は私でしょう!?」

「ちょっと待ちなさい。それって総務のお局様は私だって言いたいの?」

気がつけば、通りがかりの野間さんが、幸村さんの背後に立って壮絶な笑みを見せている。

一気に青くなった幸村さんを始めてみた。

「ちょーっと聞き捨てならないわね。幸村さん、時代的にトイレ呼び出しとかかけようかしら」

「え。さすがに冗談ですよね?」

ポカンとする私と芳賀さん。笑い続けている主任。焦った幸村さんと怒っている野間さん。

わいわいしていたら、遠くから人事主任の恫喝が入った。

「お前ら騒ぐなら表でやれ!」

ごもっともだと思う。
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