強引な次期社長に独り占めされてます!
葛藤していたら、主任がぷっと吹き出した。

「あー……わかったわかった。お前のうちな?」

「あの、いや。えーと、えーと」

「いい。気にするな。食材代くらいは払うぞ」

焦る私に苦笑する主任。しばらくの沈黙が落ちて、やっぱり笑われた。

「ところで何作ってくれんの?」

「え……あ。何かいいものが売っていたら……」

「じゃ、荷物持ってこい。外は寒いからな?」

そう言われて、そっと肩を押されたから、無言でロッカールームに向かった。

入ると誰もいなくて、電気をパチリとつけるとガランとした空間が広がる。

芳賀さんも幸村さんも、早いなぁ。

ぼんやり思いながら、コートとバックを持ってロッカールームを出た。

それから主任の運転する車に乗って近所のスーパーに寄り、買い物をしてから、家に帰ってナポリタンとスープを作る。

お皿を置くと、嬉しそうにしている主任を眺めた。

「うわ~。なんか懐かしいなぁ。いただきます」

手を合わせ、スープを飲み始める。

どうしようかな。

「上原さん」

「ん?」

スープカップから視線を上げる主任に、真剣な顔を向け……。

「私にチューできますか?」

主任は盛大にスープを吹き出した。
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