強引な次期社長に独り占めされてます!
ああ、やっぱり、そうなると思いました。

だって人間否定された程の私だもん。元彼だって私にキスはしなかった。

「じゃあ、ちょっと頑張って化粧し直してきます」

「ちょっと待て! いきなりなんだお前は! キスできるか聞いてきたと思ったら、化粧するとか」

立ち上がりかけた私の手を掴んで、主任が怒ったように叫ぶ。

だってさ、化粧し直したら、私の顔面でも、少しは見られるようになるんじゃないかと思うんだ。

掴まれたままの手を見下ろして、離してくれそうもないから仕方なく座り直した。

「だって、エッチする時、キスしないのは寂しい……」

「はぁ!?」

はぁ?とか言わないで欲しい。
元彼は、確かにムードを作ってくれたし、エッチはしたけど、チュウはしなかったんだもん。

「とりあえず、食べます」

掴まれていない方の手でフォークをとって、もくもくと食べはじめたら……いきなりおでこに手をかけられて上を向かされた。

「……なんですか」

「ふて腐れるな。しかも猫背になるんじゃねえ。正々堂々としろ。身体だけ大人になりやがって」

……なりやがってとか言われた。

「すみません……」

「別に謝って欲しいわけでもねえよ、馬鹿」
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