強引な次期社長に独り占めされてます!
「主任て、一応社長の妹の息子じゃない? つまりは株主でもあるでしょ」

「え? 知らなかった! 主任って、経営者一族なんですか?」

芳賀さんが身を乗り出し、私はあんぐりと口を開ける。

「芳賀さんが入ってきた頃には、落ち着いていたもんね。元は営業部だったけど、色々あって経理に回ってきたみたい。私も先輩たちから聞いた話だけど。そっか、芳賀さんあたりからは知らないか」

「全然知りませんでしたよー。だって、事務所じゃ単に真面目な上司ってだけですから~」

……シャチョーの妹の息子で株主?
うちの会社が親族経営なのは知っていたけど、けど……。

芳賀さんと幸村さんの会話は耳に入って来るけど、素通りしていって……思わず両手で顔を隠す。

「あれ。松浦さんも知らなかったんならごめん。えーと……主任から聞きたかったとか乙女チックな感じなの?」

珍しく困ったような幸村さんの声を聞きながら、芳賀さんが溜め息をついた。

「松浦ちゃんで、それはないですねー。この子の乙女回路は特殊ですもん。もうちょっと自分に自信持てばいいのに」

「どういうこと……?」

「そんなグレードの人と、私はお付き合いなんて出来ません~」

顔を隠したまま叫んで、うつ伏せになったら、頭上には沈黙が落ちる。

「え……やだ。私はやらかした?」

「フォローは幸村がすべきだな」

「ちょっと待って、何、松浦さんて、こんな感じの子なの? 普通は玉の輿ラッキーじゃないの?」

「ラッキーって思える子なら、いじめの対象にならないですよ、幸村さん」

「私はいじめてないからね!」

そんな感じでランチは時間は終わり、黙々と午後の仕事をなんとか終わらせると、コートを着てそそくさと帰ろうとした。
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