強引な次期社長に独り占めされてます!
目が合うと、ニヤリと意地悪な笑みが返ってきた。

「昼休憩後から挙動不審だ。こういうことは早めに手を打っておいた方がいいからな」

「えー……あの、“こういうこと”ですか?」

「うん。まぁ、飯を食ってからにしよう。昼もあんまり食ってないって聞いてるから」

確かに、ランチはほとんど食べていないけど“聞いている”って、誰から?

「幸村の報告は素早いんだ。報告書みたいな書類で提出されて驚いたが」

幸村さぁん! フォローが早すぎでしょう?
私はもう少し考える時間が欲しかったですよ!

てか、まさか帰りと同時にラチられそうになるなんて思っても見なかったけどさ、これって社会人としてあり得ないですから!

誰かに助けを求めたい!

「野間に助けを求めんなよ? あいつが迎えに来てたって事は、久しぶりにデートなんだろうから。ちなみにあいつが堂々と誘いに来たってことは、営業の女子もいないって事だから安心しろ」

ああああ安心なんてできるか~!
でも、せっかく専務がお迎え来てくれてるデートを、私ごときが邪魔しちゃいけないし。

あたふたしているうちに引き剥がすことも出来ず会社を出ると、向かった先は主任のお兄さんのお店の『夕月』だった。




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