強引な次期社長に独り占めされてます!
「可南子さ……」
急にトーンダウンして、妙に優しくなった主任の声に一瞬引いた。
「お前はおとぎ話が好きなくせに、どうして自分が“幸せ”になる事を否定しようとするんだ?」
「だって……」
童話は好きだけど、だって、それは“お話”の中の世界で……。
現実は『めでたしめでたし』や、『幸せになりました』で終わらないのは知っている。
知っているから、現実を見たくない時には童話の世界にいることが好き。
その時だけは、現実を忘れていられたから、その時だけは、私は“松浦可南子”じゃなくて、お話の“お姫様”になれたから……。
力なく座り直すと、主任は烏龍茶を飲んで、テーブルに肘をつく。
「現実を信じないのは悪い癖……なんだろうな。確かに“永遠に幸せになりました”って、言われても、お亡くなりになったのかと思うけど」
……そのフレーズから、どうして死を結びつけるのか、その発想がわからないけど。
「生きてりゃ山や谷や壁があって、幸せに思えるかどうかは、お互いの努力か、自分の考え方次第だろ。後ろ向きになんていつだってなれるんだし、後ろ向きに歩いている奴なんていないんだし」
思わず“後ろを向いて歩いている人”を想像して、唇を歪ませた。
主任はとても真剣な顔をしているんだし、さすがに、今、笑っちゃいけない気がする。
「それにお前さ。根本的に大事な事を忘れてないか?」
「私が……? 根本的に?」
急にトーンダウンして、妙に優しくなった主任の声に一瞬引いた。
「お前はおとぎ話が好きなくせに、どうして自分が“幸せ”になる事を否定しようとするんだ?」
「だって……」
童話は好きだけど、だって、それは“お話”の中の世界で……。
現実は『めでたしめでたし』や、『幸せになりました』で終わらないのは知っている。
知っているから、現実を見たくない時には童話の世界にいることが好き。
その時だけは、現実を忘れていられたから、その時だけは、私は“松浦可南子”じゃなくて、お話の“お姫様”になれたから……。
力なく座り直すと、主任は烏龍茶を飲んで、テーブルに肘をつく。
「現実を信じないのは悪い癖……なんだろうな。確かに“永遠に幸せになりました”って、言われても、お亡くなりになったのかと思うけど」
……そのフレーズから、どうして死を結びつけるのか、その発想がわからないけど。
「生きてりゃ山や谷や壁があって、幸せに思えるかどうかは、お互いの努力か、自分の考え方次第だろ。後ろ向きになんていつだってなれるんだし、後ろ向きに歩いている奴なんていないんだし」
思わず“後ろを向いて歩いている人”を想像して、唇を歪ませた。
主任はとても真剣な顔をしているんだし、さすがに、今、笑っちゃいけない気がする。
「それにお前さ。根本的に大事な事を忘れてないか?」
「私が……? 根本的に?」