強引な次期社長に独り占めされてます!
「俺は、お前が好きだって言っているんだけど。俺の気持ちは、捨てられちゃうわけ?」

ちょっぴり情けなさそうにしている主任を見つめた。

「正月に兄貴の家に行ったり、高畑にからかわれに行ったり、デートに誘いまくったり、俺の努力はどこに向かうわけ?」

え、えーと。

「別に俺は会社に付き合いを隠すつもりもない。営業部の女たちは少しお前の性格だときついかと思っていたが、幸村もお前側についてくれたみたいだから大丈夫だと思うし」

視線を外し、困ったようにしている主任を見ながら、あんぐりと口をあけてしまう。

「だいたい、押しきるように付き合い始めたわけだから、あまり強くも言えないが……俺は可南子に捨てられるのか?」

それは……。

「考えたこともなかった……」

「いや。今まさに捨てられそうなんだけど、俺」

そ、そういうことになっちゃうの?

私が主任を捨てる? この私が?

でも、だって……だってさ。

「俺が好きだって言ってる言葉も信じられない? 期待しろって言ってもお前は残念がるんだろうけど……これは間違いなく言えるぞ?」

「好き……って?」

ボソッと呟いたら、主任は私を見つめ直し、それから眉を寄せた。

「それ以上かもしれない。だいたい、好きかそれ以上の線引きってどこなんだよ」

ブツブツ言いながら、主任はまた烏龍茶を飲んだ。
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