強引な次期社長に独り占めされてます!
「とりあえず、俺にしては珍しく自分から動いてる。親にはまだだが、兄貴と友達と幸人にはカミングアウトしてるも同然だし、野間たちにも筒抜けだろうし、そのうち事務所内でも公然になるだろうし」

ブツブツは続いていて、どこか拗ねたような表情に、やっぱり呆気にとられた。

……これって、もしかして盛大な告白なんじゃないだろうか。

「それに、こっちが先に告ってんだから、立場はこっちの方が弱いって前にも言った気がするし」

なんだろう。弱音なんだろうか。

目の前の男の人は、見た目はイケメンで、仕事は真面目で定規のように真四角なイメージで。

仮装……と言うか、あれはもう、変装の域に達しているとは思うけど、プロ並みに凝り性で。

口はたまに悪くなるけど、それだってたまに……ってくらい。

ちょっと強引で、俺様と言えば俺様で、そしてガキ大将という言葉がとてもしっくり来てしまう。

意地悪と言えば意地悪だけど、それがどこか甘くって……。

私は“冒険は、飛び込む勇気が必要だよね”と言った。

死神さんは“ひとりが恐いなら、ふたりならどうだろうか”そう答えた。

これが私にとっての“冒険”なら、主任にとっても“冒険”なの?
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