強引な次期社長に独り占めされてます!
……どうせ面白かったでしょうよ。

だってお父さんはチョコなんて食べないし、付き合った彼はバレンタインまでお付き合いしなかったし。

あげる機会なんて……。

あるじゃん、できたじゃん、彼氏。

しかも、甘党の彼氏が!

「買い出し行きます。女子のイベント参加したいです」

「……あんた一人じゃ不安になるな。どうしようか……」

幸村さんは本当に不安そうに言うから、皆に笑われた。

ひ、ひどい。

「あ。じゃ。私はお目付け役立候補しようかな。総務と経理代表で……人事はどうする?」

野間さんが手を上げてくれて、人事課の女子を眺める。

「この時期は、採用佳境で身動きが……」

人事課のお姉さまがゲンナリ答えて、野間さんと私が買い出し係に決定した。

2月もまだ採用関係が佳境とは思ってもみなかったけど、イベント関係のアルバイト採用も立て込んでいるらしい。

「そこの女子。そろそろ朝礼するから、課に戻れ」

人事課の楢崎さんが大きな声をあげて、皆慌てて各課に戻っていく。

何だか楽しい。ワクワクする。

どんなのがいいのかな。誰かにあげるお菓子なんて買った事がないから、想像もつかないけど、どんなのがあるかな。

「……松浦。君は少し落ち着いた方がいい」

「あ……」

実は皆朝礼の態勢になっていて、幸村さんが苦笑するなか、主任は真面目な顔をしている。

「まだ2月とはいえ、来月は決算なんだから、気を抜かないように」

……はい。すみません。

しょぼんとしながら朝礼を受けて仕事に取り掛かり、昼食はお姉様たち一同と“作戦会議”と言うことで誘われ。
退勤時にもさっそく“買い出し”と言われてラチられた。

女子のバイタリティは凄い。
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