強引な次期社長に独り占めされてます!
「……く、くしゃみしたんです」

『ふーん? じゃ、手が空いたら確認しにいくかな』

はい?

『知ってる? お前はちょっとでも泣いたら目が真っ赤になるって。今、赤くなってないんだろうな?』

……それは知りませんでした。

パッと洗面所に向かって鏡を確認すると、確かに真っ赤だ。
泣いてましたとバレバレなくらいに。

『つーか、確認しに行った時点で泣いてたの確定だな。ひとりでコソコソ泣いてんじゃねえよ馬鹿』

……馬鹿って言われた。

『んで、間違い電話は間違いじゃ無かったこともきっと確定だろうな。なんか用だったか?』

急にトーンダウンして優しくなった声音に、そのまま洗面所に座り込んだ。

主任てすごい。こうもサクサク状況当てられると、見てるんじゃないかって疑いたくなる。

「しゅ、主任は、今、どこにいるんですか」

『俺? ちょっと野暮用ってヤツで会社』

日曜日に会社?

……仕事中だったんだ、主任。

「ご、ごめんなさい。ならいいです。ごめんなさい」

『何回も謝るな。それにもう終わるから……飯でも食いに行くか? 今からだとすっげー中途半端な晩飯になりそうだけど』

ご飯……ご飯もいいけど。違うんです。

その前に色々と、その……。

「しゅ……」

『休日に主任はなしな?』

「う、上原さんちにご飯作りにいきたいです!」

そして落ちた沈黙。
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