強引な次期社長に独り占めされてます！
「……嫌ならいいです。ごめんなさい。では……！」

『ちょっと待て。電話だからって言い逃げしようとするな。少し位は俺にも意味を理解する時間を与えろ』

間髪入れずに“待った”をかけられて、しょんぼりと耳を澄ませる。

電話の向こうで、ドアが開いて閉まる音が聞こえた。

『てか、お前。ちゃんと意味アリでそういう事を言ってるのか？』

……意味？

意味もなく“彼氏のうちに行きたい”と言うとでも？

『……俺の家に“お前が来る”と“どうなるか”わかって言ってんのか、箱入り娘』

少し突き放すように言われて無言でいたら、小さな溜め息が聞こえた。

『……そういうもんだから、流れでって言うのは、俺は嫌だ』

うん。わかっている。

……て言うか、わかった。

彼氏だから、彼女だから“こうする”のが“当たり前で普通の事だから”ではなくて。

私はあなただから“そうしたい”と思ったの。

「……ちゃんと考えました」

呟くように答えると、しばらくの沈黙の後、また溜め息が聞こえる。

『迎えに行くから、待ってろ』

そう言って、通話は切れた。




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