強引な次期社長に独り占めされてます!
「……聞いていいか、可南子」

「なんかやです」

「……いや。つーか、可南子。俺の事いつから好きなんだ?」

聞かれると思いましたー!
だよね、聞いちゃうよね、気になっちゃうよね?

「ち、違うもん! 高井さんとお食事に行った時、勝手にそう言われたんだもん!」

叫ぶようにして言ったら、脱力された。

「あー……そう。そうか。そうだよなー……まだだよなー……」

え。ちょっと待って。もしかして“好き”って気持ちが“まだ”になっちゃったの?

隣を見ると、めちゃくちゃガッカリした顔をして俯いてしまった主任がいて慌てる。

「ち、違うけど違わないの! ちゃんと好きなの! それを言いに今日は計画を──……」

「え?」

……え?

今度はどこか呆然とした主任が顔を上げ……。

「あああ! もう台無しじゃないかー。チョコ渡してから言うつもりだったのにー!!」

繋いでいた手を振りきって、両手で顔を隠してしゃがみ込んだ。

確かに、夕飯までは想定していなかったけど、本命チョコを渡そうと思っていた。

仕事しているとは思ってもいなかったけど“主任の家に行きたい”と言えば、ある程度の“決意”は伝わるって考えてた。

ちゃんとその上で“好き”って言ったら、間違いないだろうって。

だから、だから、決心してたのにー!

ぶち壊しだよ。なんで高井さんはこんな所にいて、あんな発言していっちゃうんだよー!

「か、可南子?」

「私に構わないでー! もう自分が情けなくて、情けなくて、自己嫌悪に陥っているんですから!」

「いや。自己嫌悪に陥るのはいいが、ここはちょっと……馴れ馴れしい人が多いから」

……馴れ馴れしい?
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