強引な次期社長に独り占めされてます!
13:鼓動
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見知らぬ部屋をキョロキョロと見回す。

暗い色合いのフローリングの床に、どこかアジアンテイストのラグ。カーテンはオフホワイト。一人くらいは余裕で横になれそうな、大きなビーズクッションは茶色。

仕切りのように置かれたスタッキングシェルフの中には本やら雑貨やらお菓子の缶やら……色々と置いてあって、雑然として見えるけど、だらしない感じはしない。

シェルフの向こうに見えるのは……パソコンデスクかな。

低いタイプの台にはテレビが置いてあって、両脇にスピーカー。
ローテーブルにはリモコンとティッシュボックス。

全体的に茶色とオフホワイトで統一された……主任のお部屋は、何だか大人お洒落な感じで、何だか主任て隠れお洒落なんだと実感。

自分の部屋が、雑然として混沌としている気分になりかけてきた頃、ガチャンと音がして主任が帰ってきた。

「……ただいま」

「お、おかえりなさい」

靴を脱いで顔を上げた主任が、どこか困ったように笑った。

「からかわれまくってきた」

言いながら買い物袋を片手にドアの奥に消えたから、立ち上がって後を追う。

「見てもいい?」

「ただのキッチンだぞ?」

覗くと、スッキリとしたシステムキッチンが見えた。

電子レンジとトースター、冷蔵庫とゴミ箱しか見えないけど、収納はたくさんありそう。
自炊しないと言う宣言通り、あまり使われている形跡は少ないかな。

でも、まな板があるから、包丁はどこかにあるんだろうし、炊飯器もちゃんと置いてある。

奥の方にコーヒーメーカーと、食パンの袋が見えた。
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