強引な次期社長に独り占めされてます!
「……だけど、お前って、本当に面白い奴だな」

「……好きで面白いわけじゃないですから」

時々。ぽつりとそんな事を言われながら食事は進み、食べ終わってパックを片付ける頃に今さらながらチョコを取り出す。

それを受け取りながら、主任は苦笑した。

「バレンタインのチョコレートなんて気にしてなかったのに」

そうだね。今にして思えば“皆からチョコ”にふてくされるわけでもなかったから、本当に良かったのかもしれないけど……。

「……告白、しようと思ったんです」

告白するには、私は“きっかけ”が欲しかった。

普通に言っても流されちゃうような気がしたし、何よりこんな機会でもなければ“好きです”なんて言える気分にならないと思う。

「……うん。まぁ……無理はしなくても良かったんだぞ?」

どこか自嘲するような主任に、瞬きして座り直した。

「無理……しているように見えますか?」

キョトンと彼を見上げると、困ったように視線を逸らされる。

「……俺に流されてないか?」

確かに、流されやすい性格だとは思いますよ。思いますけどね?

膝立ちで近寄って、困ったままの主任を覗き込む……。

「ちょっと失礼します」

「は……?」

返事を待たずに、主任の耳を掴んだ。

「ちょ……っ。可南子……?」
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