強引な次期社長に独り占めされてます!
「それは……いろんな意味で駄目じゃないですか?」

う、嬉しいけど……嬉しいんだけど、会社の一員としてはちょっと駄目だと思う。

真剣な顔をすると、主任は小さく笑った。

「いや。数字が違うのは今に始まったことじゃねぇし。前はネット共有してたから特定するのがややこしくてな。ネット外してしばらく様子見てたら、また最近誤差が出てきたから……」

ちらっと重なった視線に、主任は足を崩して座り直す。

「直接、数値を変えに事務所に来るとは思ってみなかったが、網張っていたら宮園が引っ掛かった」

「はあ……」

「でも、お前も少し悪い」

わ、私?

「パスワード。生年月日はセキュリティにならないって言ったろ?」

あ……パソコンの個人認証パスワードのこと?

そんな意味があったの?

「本来なら俺が囮になる予定だったのに、どうもお前の端末が使われているらしくて少し予定が狂った」

主任はブツブツ言いながらも、何故か眉間にシワを寄せながら困ったように視線を外していく。

「でも可南子のパソコンをターゲットに選んだのは、申し訳ない……」

「はい?」

意味がわからないから。
主任が私の“パソコン”をターゲットにするはずないし、話が通じないから。

今の説明、ごそっと“飛ばしちゃいけない”何かをすっ飛ばしたよね?
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