強引な次期社長に独り占めされてます!
「なんだ……甘えてんのか?」

「あ、甘えてない……!」

主任は私を抱え直すと自分の膝に乗せて、視線を合わせると……やっぱり困ったように笑った。

……困らせたいわけじゃないけど“仕方ないなぁ”とでも言いたそうな、そんな主任の笑顔は嫌いじゃない。

だって、それは私を“許して”くれているから……。

「俺は、ずっとお前の事を見ていたらしい」

呟くように囁かれた言葉に、ぱちくりと瞬きをする。

「え……?」

「宮園が言うには、俺はずっとお前の事を見ていたらしい……。女の感ってヤツは怖いな」

「……わ、私? 宮園さん? 女の感て言われても」

「……どうやら俺は、ずっとお前の事を“異性”として見ていたらしいな」

見ていたらしいな……って、ずいぶん他人事チックな。

でも、それってなんかおかしいよ?
野間さんから聞いた話と、ちょっぴり違うような話になっていない?

「私も、 宮園さんタイプで落ち着かなかったんじゃないの?」

「は?」

「大人しくて、何を考えているかわからなくて、俯いてばかりでいるから……宮園さんみたいだって、主任は落ち着かなかったんじゃないの?」

お互いに顔を合わせて、お互いに無言で疑問をぶつけ合った。

そして、何かに気がついたように、主任は納得してひとりで頷く。
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