強引な次期社長に独り占めされてます!
「野間がそう言ったか?」

え。まぁ……そうなんだけど。

主任は呆れたようにしてるけど、野間さんから“宮園さんタイプだと思って主任はそわそわ”していたって聞いたもん。

「タイプは違うだろー。お前は画面いっぱい文字が入ったメールなんてくれないし、よくわかんねー詩を職場で朗読しないし、食い物にわざと髪の毛入れないし、これ見よがしに隠し撮りもしないだろうし」

今、さらっと血の気が引きそうな事を言っていたような気がする。

聞き流してしまおうかな。した方がいい気がするけど……微かに不服申し立てられてるのかな?

「……メール欲しい?」

「まぁ“わかりました”以外の文面もたまにはみたいな」

「だって、主任だって“心配しなくてもいいから”だけだったじゃん」

「めちゃくちゃ塩対応されてんなーって、ずっと思っている」

……塩対応していたわけじゃないんだけど。しかも現在進行形で思っているの?

「だって、メールって、何を書けばいいのかわからなくて。用件以外にも何か書くものなの?」

「……難しいなぁ。俺も用件以外は何を書けばいいかわからねーし。てかお前の場合、会話の方が楽しいけど。あっちこっちに話が飛んで」

「主任ほどじゃな……」

否定しかけて、話をはぐらかされている事に気づいた。

「……それで、いつから私を見ていたと言うんですか」

「見ていたのは入社してきた時からだろ」

「そうじゃなく……」

主任は小さく息を吐くと私を抱き直して、コテンと私の肩に頭を置いた。

「俺も知らないよー。だいたい俺がお前を好きだなって自覚したのも、けっこう最近の話なのに……」

思わず主任を見ようとして、逆にガッチリ抱きしめられ、思わず唖然とした。
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