強引な次期社長に独り占めされてます!
なんだろう。何だか、今ものすごーく甘えられた気がするんだけど。

気のせい? 幻聴? 私の単なる希望的な思い込み?

「宮園、営業課長と付き合い始めて俺の追っかけやめたらしいが、破局したらしくて……」

「は、はあ……」

「でも、共犯関係は続いていたらしくってな?」

恋人関係はなくなったけど、共犯関係は続いていた……と?

「ええと。数字がおかしかったのは昔から……なんですか?」

「まぁ、今回の被害額としては数十万ってとこか。差額をあの課長はポケットに入れていたらしいな」

あ、あっさりすごいこと言うなぁ。

「俺が主任になる前から営業部の数値はおかしかったし……てか、宮園いわく、お前のパソコン使ったのは腹いせだと」

腹いせ? 私、彼女に何かした記憶も無いんですけど……。

「俺が好きになった女が狙われたらしい。だからごめん」

ちょっぴり情けなく聞こえた声音に首を傾げた。

えーと。つまり宮園さんが私を見守っていたらしい主任に気がついて、それで私のパソコンをターゲットにしたと?

そっと彼の身体に手をまわして……力いっぱい抱きつく。

「ちょ……お前、馬鹿力……!」

「私、主任にも疑われてたんだと思って悲しくなりましたけど」

耳元でボソリと呟くと、もがいていた主任が止まった。

「疑われてたから近づいてきたのかもしれない……なんて、ちょっと思っちゃったりもしました」

「うーん……お前は変に後ろ向きだから、そんな風になるかもしれないって少し予想してたな」

「予想してたなら、フォローしてください」

苦笑して手を離すと、主任も抱きつくのをやめて顔を見合わせる。
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