強引な次期社長に独り占めされてます!
「お前のパソコン使われてんなーとは辺りをつけていたんだが、どうにも出来なかった」

小さく悪い、と呟かれて困ってしまう。

一年以上かけて、秘密にしながらも内偵していたんでしょ?
そんな詳細は、平社員に話せるはずがないのも……寂しいけど理解はするよ。

そして、ちゃんと“パスワードを変えろ”と忠告してくれていた事も理解してる。

「私、パソコン壊したかと思って焦りました」

「ああ、あれ? パスワード三回間違えたら大音量でエラー音を出すように設定した。焦って強制終了して逃げたみたいだが、画像にはバッチリ宮園映っていたよなー」

……設定した? 主任が?

「もしかして、それで土日出勤してたんですか?」

「まぁ、さすがに人前で隠しカメラとか、パソコン設定とかいじれないし」

「でも、私のパソコン。今度はちゃんと誰にもバレなさそうなパスワードにしたのに」

主任はクッと笑うと、私の頬を手の甲でスルッと撫でていく。

「俺は管理者だから。時間かければ開けられるし」

そうなんだ。でもそれは……?

「それならあの時、私のパスワード聞かなくても勝手に個人認証開けられたんじゃ?」

病院でわざわざパスワード聞かなくても、主任はパソコンを開けるんじゃないの?

「いやー。さすがに社長から許可もらった上での、ハッキングに近い方法だから。事務所の面子の前でするわけにもいかねーだろ」

「……ハッキング」

それって、犯罪じゃなかった?

「……今、変なことを考えたろ」

目を細めた主任から、こそ~っと視線を逸らせた。
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