強引な次期社長に独り占めされてます!
「俺はそもそも経理畑の人間じゃないし」

「営業……?」

「……に、突っ込まれたけど、実はクリエイター目指してた。プログラミングは趣味だな。だいたい俺は愛想笑い得意じゃねーし。地味にコツコツ何かやってる方が性に合う」

言いながら、主任の手が妖しく動き出す。

「え。ちょ……っ、主任。どこ触って」

「お前の事、しばらく構えなかったし。やっと一段落したと思ったら逃げるし。これから決算で、また忙しくなるんだし」

いや、だからってこの構い方はどうなんだろ。

「誤解はなくなったか?」

「う、うん。大丈夫。大丈夫だから、主任……!」

服の上から触れられて、真っ赤になりながらその手を押さえた。

「案外、あっさり許したな……」

「え……何?」

「いや。何でもない」

唇を塞がれて、途端に力が抜けていく。

……やっぱりキス、好きかも。

これはいけない。このまま流されちゃダメな気がする。

でも繰り返されるキスに目を瞑り、そっと横たえられたら、そんなことはどうでもよくなった。

許すも許さないも……私は主任が好きなんだなって思う。

好きになっちゃったら、だいたいの事は大目にみちゃうものだし……。

キュッと抱きしめ返したら、嬉しそうに笑いながら主任は私を見下ろす。

「夜は長いぞ?」

「え……」

一瞬、覚醒しかけた意識はすぐに快感にとって変わられた。

「しゅに……」

「名前で呼べよ」

そんな言葉が聞こえたけれど、霞んでいく意識の中に何もかもが飲み込まれていった……。









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