強引な次期社長に独り占めされてます!
「ちょ、ちょっと待って?」

「待たない。正直、ここ逃したら、絶対にお前は“はい”なんてすんなり答えない気がしてきた」

うわぁ。また聞き分けないことを言い始めたんだけど。

「聞き逃してました、だから今のはノーカウントにしてください」

必死で食い下がる私と、両手で耳を塞ぎ始める雄之さん。

もう、やってること子供なんだから!

「主任! いくら私でもいい加減にしないと怒りますよ?」

冷たい視線を送ると、ふて腐れたように雄之さんは口許を尖らす。

……ちょっと可愛いけど、大の大人のすることでもないなぁ。

「……結婚して、一緒に住むのもいいけど、まず先に両親に挨拶だよなって言った」

「え……?」

「お前な。俺だってさすがに、何度も言えるほど神経図太くねーぞ?」

照れながらも苦笑する彼を、私はただ目を丸くして眺めて……。

それからあんぐりと口を開けた。

雄之さんがいきなり“指輪”とか言うから、ある意味で想像していた台詞ではあるけど、私は聞いていなかったんだから、そのまま冗談で濁されるって考えていたよ。

それをしっかりと言い直して……どうしたことか、私の前に正座をして座り直し始めてる。
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