強引な次期社長に独り占めされてます!
「本気……?」

「あんな台詞、冗談で言えるように見えるか?」

ちょっと見える。けど、そんなことを言ったら、たぶん怒られる。

怒られたくはない……! けど。

「私でいいの?」

「いいんだろうな」

「何ですか、その他人事みたいな言い分」

雄之さんは困った顔をして、頭をかきながらチラッと外を見た。

「理由なんて言われてもなー……。この女と一緒になりたいなって思ったら、言うんじゃないのか?」

言うんじゃないのかって……。

「常々思ってましたけど、展開早すぎですからね?」

「そうでもないんじゃないか? しかも、可南子のペースに合わせてたら進展するものもしないだろ?」

……一理ある。しかも、私は王道のラブストーリーが好きだ。

ある日、王子さまが突然現れて、突風のように恋に落ちて、王子さまに連れ去られる物語。

これってあれじゃない? ある意味でシンデレラ的な……もしくはアヒルの子的な?

「わ、私は、可愛い人じゃないし、平凡だし、普通だし……」

呟いていたら、雄之さんの表情が、困ったような笑いだしそうな、複雑なものに変わる。

「主観の違いだな」

「もともと太っていたんだし、将来的に太るかもしれないし、そうなると病気の心配も出てくるし」

「いや、待て。そこまで飛躍するな」

厳しくストップをかけられて俯いた。
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