強引な次期社長に独り占めされてます!
「だって……」

「可南子が自分に自信を持っていないのは知ってるが、その状況でお前が太るなら、同じもん食ってるだろう俺も太るって。それなら一緒じゃないか」

「一緒じゃないもん。妊娠したら太るって父さん言ってたもん」

「それ、腹がでかくなるだけ……」

言いかけて、彼の言葉が止まった。

俯いていた顔を上げると、飛び込んできたのは、真っ赤になって固まった雄之さんの表情。

……耳まで赤い。

「雄之さん?」

「うわー……お前のミニチュアが走り回ってる想像出来た……子供はガリガリよりふくふくしてた方が、なんか幸せだよなー」

その言葉に、無言で微笑んでみた。

いきなりそんなこと言われたって、同意はなかなか出来ませんが。

何だか幸せそうにしている雄之さんを眺めて、少しだけ現実逃避をしたくなってくる。

「雄之さんて、話を脱線させるの得意だよね」

恥ずかしくなったのか、やっぱり赤い顔をのまま、雄之さんは眉を下げた。

「嫌なのか?」

「嫌じゃないけど、色々あると思うんだ? だいたい付き合ってすぐに結婚には結び付かないと思うし」

「長い付き合いイコール結婚にもならねぇよ。平凡で普通って言うけど、それだって難しいんだぞ?」

平凡で普通が難しい?

首を傾げると、雄之さんはパタパタと自分を手で扇ぎながら唇の端を上げる。
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