強引な次期社長に独り占めされてます!
「お前にとって普通でも、俺にとっては特別なんだし。俺にとって普通でも、お前にとっては特別なんだろ?」

だろ……と、言われましても。ちょっとすんなり頭のなかに入ってこない。

「お前は……俺がいわゆるお前を“特別”って思ってるのわかってるか? そして、お前は俺を“平凡で普通”って思ってるわけか?」

そんなわけないじゃん。
私は雄之さんが“好き”なんだし、他の人とは違って“特別”に決まってる。

「ちなみに俺からすると“俺は普通”なわけなんだが」

価値観ってこと?
でも“結婚”て、その場のノリとか、一時の感情とか、そんなので決めることじゃないと……。

「……シンプルに考えろ。嫌いで結婚するより、好きで結婚した方がいいと思うだろ?」

「それは……思うけど。男の人ってそんな、すぐに結婚しようってならないとも思う」

だいたい、私は23歳だし、雄之さんだって31歳だし。
あ。でも、31歳って結婚を考える年齢なのかな?

「いやー……他の男と比べられたらムカつくけど。まぁ、俺はその気になったよな。悪くない……つーか、むしろいい」

むしろいい……か。

何だか、言いくるめられそうな雰囲気を醸し出しているけど。

雄之さんは“ガキ大将”だしな。
たまに子供っぽくて、手に余るって言葉も“まさにソレだ!”状態だけど。

好きか嫌いかで言ったらもちろん好きで。

好きじゃなければ、こんなに近くにもいないわけで……。

雄之さんは、私が素っぴんでも引かないなぁ。
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