強引な次期社長に独り占めされてます!
何だか不穏な事を言われたけど、忙しさに紛れて時間はどんどん過ぎていく。

そんな一週間が過ぎた頃。

「松浦。終わりそうか?」

ちょっぴり残業のつもりでいたら、いつの間にかみんないない。

もう、主任クラスばかりになっちゃうまで残業してるって……。
もっと早く、書類作成できるようにならないとなぁ。

書類の端をトントンと揃えて、脇に立った雄之さんを見上げて微笑む。

「すみません。遅くなりましたけど、もう終わ……」

唐突に、雄之さんは私の肩に頭を乗せてきた。

「え!? あ、あの? しゅ、主任?」

赤くなったり青くなったりしていたら、野間さんがクスクスと笑い始める。

「大変ねぇ。松浦さん」

「あー……なんだ、上原。電池切れたか? 女に甘えるなら帰ってからにしろよ」

人事の方からも楢崎主任の声が聞こえてきて、大慌てで離れようとしたら大きな溜め息が聞こえてきた。

「悪い。もうちょっと」

「だ、だめですよ。ここは職場だし、書類終わりましたし!」

持っていた書類ごと主任の身体を押し戻すと、疲れたような、しょんぼりしたような雄之さんが見えた。

……気のせいじゃなければ、さっきまでは“真面目な表情のいつもの主任”だったのに。

「わかった……」

どことなくトボトボとデスクに戻っていく雄之さんを見送り、タイムカードをスキャンしに行き……。

「帰るのか?」

声をかけられて振り返る。

「待ってます。チェックお願いします」

ぴょこっと雄之さんの眉が上がり、パッと書類を見た。

……仕事が大変で、最近は一緒に帰ることも無かったし、今日は待っていよう。

一度ロッカーに行って、コートとバックを持ってくると、デスクに戻って椅子に座り直した。
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