強引な次期社長に独り占めされてます!
「一応、決算が終わってからと思って、いろいろ考えていたんだぞ。まさかバレンタインに告白されるとは思ってもみなかったが、忙しい時期は外して、それこそお前が好きそうなとこに旅行に行こうかとか。そもそもプロポーズだって、朝飯食った後ってどうだよって自分でもわかってたし」

……久しぶりに、長い説明が始まった。

「そうなんですか……」

「だから仕切り直しを考えてるけど忙しいし、まとまらなくてイライラしてんのに、急にお前の笑顔を見たら……ちょっと気が抜けた」

つまりそれって、要するに。

「私が好きって事ですか」

「くどい。俺はずっとそう言ってる」

今度は怒ったように言われて、すこーし笑ってしまった。

笑って、姿勢を正すと真っ直ぐに雄之さんを見る。

「私……ずっと聞きたかったことがあります」

そう言うと、雄之さんも姿勢を正した。

まぁ、こんな話を、こんなところでするつもりはなかったけど、これでお互い様になると思う。

「私には……その、何もかもが唐突に思えて。死神さんは、どうして私に声をかけたの?」

ちょっと困ったように呟いたら、雄之さんはゆっくりと目を丸くして、それからじっと私を見つめて、最後に真面目な顔をした。

「……何度も言った気がするが、楽しそうだった、な」

私が? 楽しそうだった?
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