強引な次期社長に独り占めされてます!
「入ってきた時かな。しぶしぶしてたくせに、一瞬だけ、何て言うか……ワクワクして目を輝かせてて。楽しくて楽しくて仕方がなさそうに、ゾンビだらけのフロアを見まわして」

それから、ちょっと帽子を被るような仕草をすると苦笑する。

「だが……友達が居なくなった途端、自分の殻に閉じこもった」

雄之さんは立ち上がって目の前に来ると、私の手をとり……そして片膝をついた。

「……たぶん、一目惚れってやつなんじゃないか? そんなもん信じたこともなかったが……」

彼は苦笑して、私を見上げる。

それが何故か意地悪そうな笑顔に見えるのは、何でなんだろう?

「だから、病院で見つけた時には決心したな」

「な、何を……?」

「絶対に俺のものにするって」

ニヤリと笑うと、するっと何かを指に通された。

「え……」

「まぁ、ロマンチックなプロポーズはいずれどっかでしてやるから、とりあえず俺のものになっておけ」

見下ろすと、左手の薬指にしっかりとはまったキラキラした輝き。

「本当ならホワイトデーかな、とも思っていたが平日だし。なんだかお前相手だとうまくいかないよなー」

「え……ちょっ。私のせい?」

カレンダーの曜日まで責任持てないんですけど?

「大まかにお前せい? さて、話はすんだか? なら、明日は俺もしっかり休むから、俺の部屋に泊まりに来い」

清々しいくらいスッキリした笑顔で立ち上がると、雄之さんは私の手を引いて立ち上がらせた。

えーと……ちょっと……。
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