強引な次期社長に独り占めされてます!
オマケ
*****
「あのぅ。やっぱり、やりすぎじゃないかな……」
そう言って、目の前の雄之さんを見ながら身につけた黒いドレスの裾を摘んだ。
たくさんのレースとシフォンを使ったプリンセスラインの真っ黒なドレス。
長手袋はしてるけど、肩は出てるしヒラヒラで落ち着かない。
頭には、丁寧に芽依に作ってもらったとんがり帽子を被ってる。
ところどころ黒バラがついて、豪奢な魔女としか言いようがない。
雄之さんは私を眺め、それから芽依の施してくれたバッチリメイクに頷く。
「うーん。あの時のメイクより、盛るのはこの際当たり前じゃないのか? あの時の蝶は黒一色のペイントだけだったが、今回のは派手にキラキラしてるだけだろ?」
「でも……」
「せっかく友達が気合入れてくれたんだから、無にするんじゃねーよ」
「だからって」
「イベント好きな一族に囲まれてるんだ、諦めろ」
ニヤリと笑う雄之さんを見上げ、唇を尖らせた。
「でーもー……」
そりゃ雄之さんはフード付きの黒いロングケープで、中は素敵なタキシードだし、骸骨仮面をかぶる……。
視線が行くとしたら、持っている大鎌くらいだから気にならないんでしょ。
拗ねていたら、その唇をあむっと食まれた。
「ゆ、ゆゆ雄之さん!?」
「ごちそうさん。じゃあ行こうか、魔女さん」
顔が半分隠れる骸骨の仮面をカポッと被って、白い手袋を穿いた手を差し伸べてくる。
照れながらも睨んだら、小さくふっと笑われた。
「今日の主役は俺達なんだから、目立つのは仕方がないだろ」
……だからってチュウする理由にはならないんだから。
その手に重ねるように手を乗せて、歩きだす彼についていく。
「もっとオーソドックスに出来たと思う〜」
「大丈夫大丈夫。まぁ、言ったら、うちの親族関係はそうでもないだろうが、お前の親族関係には驚かれるだろうなぁ……」
「だからー……」
「お前も最初は浮かれていただろう」
「あの時は、浮かれてたんです!」
言い合いをしながら扉の前に立ち、
『お二人の馴れ初めの時のお姿だそうです。では、新郎新婦の入場です』
華やかな扉が開くと、暗い中でたくさんのジャッ ク・オ・ランタンに出迎えられて瞬きした。
あれ? これはどうしたこと?
ビックリして立ち止まってしまった私を雄之さんは見下ろして、それから何を思ったのかいきなりお姫様風に抱き上げた。
「え……ちょ……っ!」
「お前んとこの親族もノリがいいなぁ」
会場内に入って行くと、ほぼ全員のフランケンシュタインや、ゾンビなどの被り物をした晴れ着姿の出席者。
たくさんのフラッシュの中、あそこで棒立ちになっている馬は、間違いなく父さんと同じ格好をしていた。
「ゆ、雄之さん。知っていたの?」
「いや? ただ、うちの社長はこういうの大好きだからなあー。やっぱりうちの会社を話に絡めたら、サプライズ仕掛けてくるだろうと思ってた」
……確かに、馴れ初め的な話になった時、盛り上がって当時と同じ格好をしよう!と、意気投合した私達も私達だけど。
席に辿り着き、座らせてもらってからまわりを見回した。
口笛や、ひやかしの声がたくさんかかる。
そうしている人たちが、パンプキンにオバケに……何故か黄緑色の全身タイツまでいる会場は、ある意味すごーく異空間。
「ねぇ、雄之さん。これって……」
「安心しろ。俺達の結婚式だ」
微笑みを浮かべる死神さんを呆然と見て、それから吹き出した。
これってまさしくハロウィンパーティーだよね?
でも、どこか亜空間。それはなんだか私たちにはとっても合っているような気がした。
2016/10/27
「あのぅ。やっぱり、やりすぎじゃないかな……」
そう言って、目の前の雄之さんを見ながら身につけた黒いドレスの裾を摘んだ。
たくさんのレースとシフォンを使ったプリンセスラインの真っ黒なドレス。
長手袋はしてるけど、肩は出てるしヒラヒラで落ち着かない。
頭には、丁寧に芽依に作ってもらったとんがり帽子を被ってる。
ところどころ黒バラがついて、豪奢な魔女としか言いようがない。
雄之さんは私を眺め、それから芽依の施してくれたバッチリメイクに頷く。
「うーん。あの時のメイクより、盛るのはこの際当たり前じゃないのか? あの時の蝶は黒一色のペイントだけだったが、今回のは派手にキラキラしてるだけだろ?」
「でも……」
「せっかく友達が気合入れてくれたんだから、無にするんじゃねーよ」
「だからって」
「イベント好きな一族に囲まれてるんだ、諦めろ」
ニヤリと笑う雄之さんを見上げ、唇を尖らせた。
「でーもー……」
そりゃ雄之さんはフード付きの黒いロングケープで、中は素敵なタキシードだし、骸骨仮面をかぶる……。
視線が行くとしたら、持っている大鎌くらいだから気にならないんでしょ。
拗ねていたら、その唇をあむっと食まれた。
「ゆ、ゆゆ雄之さん!?」
「ごちそうさん。じゃあ行こうか、魔女さん」
顔が半分隠れる骸骨の仮面をカポッと被って、白い手袋を穿いた手を差し伸べてくる。
照れながらも睨んだら、小さくふっと笑われた。
「今日の主役は俺達なんだから、目立つのは仕方がないだろ」
……だからってチュウする理由にはならないんだから。
その手に重ねるように手を乗せて、歩きだす彼についていく。
「もっとオーソドックスに出来たと思う〜」
「大丈夫大丈夫。まぁ、言ったら、うちの親族関係はそうでもないだろうが、お前の親族関係には驚かれるだろうなぁ……」
「だからー……」
「お前も最初は浮かれていただろう」
「あの時は、浮かれてたんです!」
言い合いをしながら扉の前に立ち、
『お二人の馴れ初めの時のお姿だそうです。では、新郎新婦の入場です』
華やかな扉が開くと、暗い中でたくさんのジャッ ク・オ・ランタンに出迎えられて瞬きした。
あれ? これはどうしたこと?
ビックリして立ち止まってしまった私を雄之さんは見下ろして、それから何を思ったのかいきなりお姫様風に抱き上げた。
「え……ちょ……っ!」
「お前んとこの親族もノリがいいなぁ」
会場内に入って行くと、ほぼ全員のフランケンシュタインや、ゾンビなどの被り物をした晴れ着姿の出席者。
たくさんのフラッシュの中、あそこで棒立ちになっている馬は、間違いなく父さんと同じ格好をしていた。
「ゆ、雄之さん。知っていたの?」
「いや? ただ、うちの社長はこういうの大好きだからなあー。やっぱりうちの会社を話に絡めたら、サプライズ仕掛けてくるだろうと思ってた」
……確かに、馴れ初め的な話になった時、盛り上がって当時と同じ格好をしよう!と、意気投合した私達も私達だけど。
席に辿り着き、座らせてもらってからまわりを見回した。
口笛や、ひやかしの声がたくさんかかる。
そうしている人たちが、パンプキンにオバケに……何故か黄緑色の全身タイツまでいる会場は、ある意味すごーく異空間。
「ねぇ、雄之さん。これって……」
「安心しろ。俺達の結婚式だ」
微笑みを浮かべる死神さんを呆然と見て、それから吹き出した。
これってまさしくハロウィンパーティーだよね?
でも、どこか亜空間。それはなんだか私たちにはとっても合っているような気がした。
2016/10/27