強引な次期社長に独り占めされてます!
「可南子にしては珍しいじゃない。前髪を上げてるの。ここが青くなってるけど」

芽依は自分の額を指差し、顔をしかめる。額の瘤が青くなっちゃってるのかな。

思わず触りかけて……やめた。絶対に痛い。

「主任が、会話してるとき目が見えた方がいいって勝手にわけられたの」

「あ……そう? なかなか手慣れてるねー。あの主任」

手慣れてる? 何が?

眉を寄せるとケラケラと笑われた。

「可南子。普通、されるがままにならないものじゃん? 上司に前髪を直されるってどうなの」

どうなのって言われても……。

「何だか色々ありすぎてどうでもよかったし、実は前髪おろしたまま横になってたら髪が目に入って痛かったし……私、そんなに痛々しい感じ?」

「うん。その青あざは痛そう」

そっか……。主任にも“痛々しい”って言われたな。

そんな風に思いながら、最低限必要なものを芽依にお願いして、外の暗さに何時か聞くと、18時を過ぎていると言われてビックリした。

「……主任、こんな遅くまで居てくれたんだ……」

ボソッと呟くと芽依も微笑んで頷く。

「私が喧嘩売ってるのに、やたら冷静でビックリしたけど」

「……私もビックリしたよ」

「まぁ、いい上司ね?」

お互いに顔を合わせて小さく笑った。

それから芽依は荷物を取りに行ってくれて、戻ってきた時には私は眠っていたらしい。

もちろん、その夜は夜中に看護師さんに何回か、生年月日を聞くために起こされ続けた。










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