強引な次期社長に独り占めされてます!
3:出勤
*****
月曜日、出社してみると社員入口に高井さんが立っていた。
ペラッペラのスタッフジャンパーを着て、寒くないのか軽装の彼にビックリする。
「おはよう。松浦さん」
「おはようございます……」
満面の笑みにゆっくりと頭を下げて通り過ぎようとしたら、何故か高井さんはついてきた。
「あれからどう? 頭痛い?」
瘤が痛いと言えば痛いけど、思っていたより青さは引いたし腫れも引いてきてくれてる。
それなら問題ないと思うけど、退院する時に『頭痛や吐き気がしたら、病院に来るように』と言うお医者様の真面目な言葉があった。
それを加害者の高井さんに言っても始まらないし……。
「大丈夫です」
そう言ってもついてくる。
うつむき加減で歩いて、どうしようか悩んだあげく、事務部のドアに手をかけようとしたら、いきなり腕を掴まれてビクリと高井さんを見上げた。
「なら、ご飯食べに行きませんか? お詫びも兼ねて」
お詫び以外に何を兼ねるつもりだろう? ぼんやりしていたら低い声が割り込んでくる。
「いわば怪我人を退院後すぐに食事に誘うのは感心しないな。それに、そういうのは業後にした方がいい」
振り返ると、黒に近いグレーのコートを着た上原主任が、無表情に腕を組んで立っていた。
「しかも、入口を塞ぐのは問題だ」
「すみません!」
パッと高井さんが手を離して後ずさる。それを眺めて安心して息をついた。
月曜日、出社してみると社員入口に高井さんが立っていた。
ペラッペラのスタッフジャンパーを着て、寒くないのか軽装の彼にビックリする。
「おはよう。松浦さん」
「おはようございます……」
満面の笑みにゆっくりと頭を下げて通り過ぎようとしたら、何故か高井さんはついてきた。
「あれからどう? 頭痛い?」
瘤が痛いと言えば痛いけど、思っていたより青さは引いたし腫れも引いてきてくれてる。
それなら問題ないと思うけど、退院する時に『頭痛や吐き気がしたら、病院に来るように』と言うお医者様の真面目な言葉があった。
それを加害者の高井さんに言っても始まらないし……。
「大丈夫です」
そう言ってもついてくる。
うつむき加減で歩いて、どうしようか悩んだあげく、事務部のドアに手をかけようとしたら、いきなり腕を掴まれてビクリと高井さんを見上げた。
「なら、ご飯食べに行きませんか? お詫びも兼ねて」
お詫び以外に何を兼ねるつもりだろう? ぼんやりしていたら低い声が割り込んでくる。
「いわば怪我人を退院後すぐに食事に誘うのは感心しないな。それに、そういうのは業後にした方がいい」
振り返ると、黒に近いグレーのコートを着た上原主任が、無表情に腕を組んで立っていた。
「しかも、入口を塞ぐのは問題だ」
「すみません!」
パッと高井さんが手を離して後ずさる。それを眺めて安心して息をついた。