強引な次期社長に独り占めされてます!
「毎年、変装が誰かに見つかるまではいる。今年は誰にも見つからなかったようだが」

上原主任もいたんだ。主任って、そういうの参加しなさそうなのに。

「うわ~。上原主任が参加されているとは思っても見なかった……そういうの来ないと思っていました」

芳賀さんもそう思ったらしい。驚く彼女に主任はただ頷いた。

「社内のイベントに参加するのは、会社の一員としては当然の事だ。途中参加で途中抜けたとしても」

つまり主任は、途中参加で途中退場されているんですね。
そして、この流れからクリスマス会に参加しないって言えなさそう。
なんたって“会社の一員”としては、だもんね。

「参加します……」

ポソリと呟くと、上原主任に見下ろされた。

「そうか。ではそのように……」

言いかけて、主任がいきなり手を伸ばしてくる。

な、なになになに!?
ビックリしていると、主任は私の前髪を指先でそっと持ち上げる。

「腫れはひいたようだが、まだ少し青いな」

「は、はい……メイクで少し誤魔化してます」

「え。お前、化粧してんの?」

ポロッと出てきたざっくりした言葉に、その場にいた人の動きが止まった。

「……意外。主任がフランクに会話してる」

「それはどういう意味だ」

芳賀さんの言葉に主任は難しい顔をして、クリップボードに何か書き足すと、それ以上は何も言わずに席に戻っていった。
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